逆流性食道炎ガイド
gerd-guide.com
逆流性食道炎と子どもの話。
このブログでは逆流性食道炎(GERD)について、食事・生活習慣・ストレスなど様々な角度から調べてきました。今回はこれまでとは少し違う切り口で、子どもの逆流性食道炎について書いてみたいと思います。
日本語でインターネットを検索すると、逆流性食道炎に関する記事は数多く見つかりますが、その多くは大人を対象にしたものです。子どもの逆流性食道炎に特化した記事は、一部のブログなどを除き、ほとんど見当たりません。
私のケースでいうと、GERDの症状が出始めたのは大人になってからで、子供時代に胸焼けに苦しんだ経験はありません。逆流性食道炎という言葉は知らなかったし、子供時代の友達が胸焼けに苦しんでいるという話は聞いたことがありません。
一方、アメリカではNIH(アメリカ国立衛生研究所)傘下のNIDDK(国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所)が、乳幼児・子ども向けの逆流性食道炎に関する情報を詳しくまとめています。GERD患者が日本よりはるかに多いアメリカでは、子どものGERDについても研究が進んでいるということだと思います。今回はNIDDKの情報をもとに、子どもの逆流性食道炎について考えてみたいと思います。
乳幼児(1歳未満)の場合
吐き戻しは正常な生理現象
乳幼児の吐き戻しを経験した親御さんは多いと思います。NIDDKによると、生後2ヶ月までの乳幼児の70〜85%が毎日吐き戻しを経験するとされており、これは正常な生理現象(GER)です。
Regurgitation may occur one or more times each day and is more common in infants younger than 6 months old. About 70 to 85 percent of infants have daily regurgitation by the age of 2 months.
吐き戻しは1日に1回以上起こることがあり、生後6ヶ月未満の乳幼児に多く見られます。生後2ヶ月までの乳幼児の約70〜85%が毎日吐き戻しを経験します。
そして重要なのは、ほとんどの乳幼児はGERの症状が生後12〜14ヶ月までに自然に消えるとされているという点です。
GERDになると注意が必要
一方、乳幼児でもGER(生理的な逆流)がGERD(病的な逆流性食道炎)に発展するケースがあります。NIDDKによると、乳幼児のGERDは早産児や特定の健康状態を持つ乳幼児に多く見られるとされています。
乳幼児のGERDの合併症として挙げられているのは:
- 食道炎・食道潰瘍・出血
- 体重増加不良(食べることを拒否するため)
- 咳・喉頭炎・肺炎などの食道外合併症
子ども(1〜18歳)の場合
約10%の子どもが週1回以上症状を経験
乳幼児を過ぎた後も、GERDは子どもに影響を与えることがあります。NIDDKは以下のように述べています。
Research suggests that about 10 percent of children may have GERD symptoms at least once a week.
研究によると、約10%の子どもが週1回以上GERDの症状を経験している可能性があります。
また、GERDは10歳以上の子どもに多いとされており、過体重・肥満の子ども、または食道・神経・肺に特定の健康状態を持つ子どもにより多く見られるとされています。
肥満との関係については逆流性食道炎と肥満についてでも取り上げましたが、子どもの場合も同様のことが言えるようです。
子どものGERDの合併症
治療を受けなかった場合、子どものGERDは以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があるとNIDDKは警告しています:
- 食道炎:食道の炎症・潰瘍・出血
- 食道狭窄:食道が狭くなり飲み込みにくくなる
- バレット食道:食道がんのリスクを高める状態
- 食道外合併症:喘息・慢性咳嗽・声のかすれ・喉頭炎・肺炎・歯のエナメル質の摩耗
特に興味深いのは「歯のエナメル質の摩耗」です。胃酸が口まで逆流することで、歯が少しずつ溶けていく可能性があるということで、子どもの歯の問題の原因がGERDである可能性も考えられます(胃酸で歯が溶ける?という話)。またバレット食道が子どもにも起こりうるという事実は、早期発見・早期対処の重要性を改めて感じるところです(バレット食道の話)。
大人のGERDとの共通点
子どものGERDと大人のGERDに共通しているのは、放置すると深刻な合併症につながるリスクがあるという点です。症状を軽視して放置することの危険性は大人も子どもも変わりません。
NIDDKも以下のように述べています。
Without treatment, GERD can sometimes cause serious complications over time. A pediatrician should monitor children with GERD to prevent or treat long-term problems.
治療を受けなかった場合、GERDは時間の経過とともに深刻な合併症を引き起こすことがあります。小児科医はGERDのある子どもを長期的な問題を予防・治療するために経過観察すべきです。
大人のGERDとどう違うのか
ここまで読んで「結局、大人のGERDと変わらないじゃないか」と思われた方もいるかもしれません。確かにメカニズムやリスク因子(肥満など)は大人と共通している部分が多いです。
ただ、アルコールやカフェインなど、リスク因子を摂取する機会が多い大人に比べて「子供のGERD」は見逃されやすい傾向にあるとは言えるかもしれませんし、「大人と同じ胃酸の逆流が子どもにも起こる」ということを知っておくだけでも意味はあると思います(早期発見につながるという意味で)。
特に幼い子供は症状を言葉で伝えられないため、NIDDKも「背中を反らせる」「いつもより泣く」「食欲不振」などの行動サインに注意するよう呼びかけています(NIDDK - Symptoms & Causes of GER & GERD in Children)。
まとめ
逆流性食道炎は大人だけの病気ではありません。乳幼児の吐き戻しの多くは正常な生理現象であり、自然に治ることがほとんどですが、GERDに発展した場合は適切な対処が必要です。また子どもの約10%が週1回以上GERDの症状を経験しているとされており、決して珍しくない状態です。
子供であっても逆流性食道炎になることがある、という点を頭に入れておくと、スムーズな診断や治療につながるかもしれません。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
