逆流性食道炎ガイド
gerd-guide.com
逆流性食道炎とアルコールの話。
お酒が好きな方にとって、逆流性食道炎の診断を受けた後に「お酒はどうすればいいのか」というのは切実な問題ではないでしょうか。
私は今ではアルコールはほとんど飲まないのですが、以前はビール、日本酒、ウイスキーなどを好んで飲んでいました。そんなに強くないのですが、居酒屋やバーの雰囲気が好きで、そういった場所に友人と、あるいは一人で通っていたものです。
その後、単純に酒が弱くなってきたのと、やはり飲んだ当日や翌朝に胸焼けがすることが多くなってきたため、次第に飲むのをやめたという経緯があります。
今回はアルコールと逆流性食道炎の関係について考えてみたいと思います。
逆流性食道炎とアルコールの関係
逆流性食道炎とアルコールの関係については複数の研究で調査されており、飲酒量が増えるほどリスクが上昇するという傾向が確認されています。
日本人男性463名を対象に行った研究では、非飲酒者と比較して飲酒量が増えるほど逆流性食道炎のリスクが上昇することが確認されています。具体的には軽度飲酒者(1日25g未満)のリスクは非飲酒者とほぼ変わらない一方、中等度飲酒者(25〜50g)では約1.9倍、大量飲酒者(50g超)では約2.0倍のリスクがあることが示されました(Akiyama et al., 2008)。
また別の研究では、飲酒者は非飲酒者・機会飲酒者と比較してGERDリスクが1.48倍、特に逆流性食道炎(びらん性)のリスクは1.78倍高いとされています(Xue et al., 2019)。
アルコール:悪影響のメカニズム
アルコールが逆流性食道炎に悪影響を与えることは、アメリカの名門医療機関でも指摘されていました。Mayo Clinicは、公式サイトの胸やけ(Heartburn)の治療に関するページで以下のように明記しています。
Don't smoke or drink alcohol. Both smoking and drinking alcohol decrease the lower esophageal sphincter's ability to function properly.
喫煙やアルコールの摂取は避けましょう。喫煙とアルコールはどちらも下部食道括約筋(LES)の正常な機能を低下させます。
より具体的に以下のように述べられています。
Drinking alcohol relaxes the lower esophageal sphincter and irritates the esophagus.
アルコールの摂取は下部食道括約筋(LES)を弛緩させ、食道を刺激します。
つまりアルコールが逆流性食道炎に悪影響を与えるメカニズムは主に2つあります。
1つ目はLES(下部食道括約筋)を弛緩させること。LESは胃と食道の境界にある筋肉で、胃酸の逆流を防ぐ「弁」の役割を果たしています。アルコールによってこの弁の機能が低下すると、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
2つ目は食道粘膜への直接的な刺激です。アルコールは食道の内壁を直接刺激し、炎症を引き起こす可能性があります。
逆流性食道炎を抱える人にとって、アルコールは特に注意が必要な飲み物と言えます。
アルコール度数と逆流の関係
ご存知の通り、アルコールは種類によって度数が異なり、度数の高いお酒は特に逆流性食道炎への注意が必要です。ざっくりとですが、私達がよく飲むアルコールについて種類別に見てみようと思います。
日本酒・焼酎・ウイスキー
度数が高いので、基本的には注意すべきアルコールと言えます。
特に日本酒に関しては、私自身の苦い思い出が。
以前よく通っていたおでん屋さんは、日本酒をおでんの出汁で割って飲むのが名物で、私もよく飲んでいたのですが、今考えれば飲むたびに胸やけがしていました(当時はそれほど深く考えていませんでした)。最後に飲んだ時は翌朝起きると胃から喉にかけて焼けただれるような感じがして苦しんだのを覚えています(過去最悪の逆流症状。その原因は?に書いた症状と同じレベルの苦しみでした。。。)。度数の高いお酒は逆流性食道炎のリスクを大きく高めると実感した経験でした。
焼酎とウイスキーも同様のリスクがありますが、これらに関しては「水割り」を選択するとリスクを低減できるのではないかと思います。知人との付き合いなどで居酒屋に行った場合、私は焼酎の水割りを選ぶようにしています。水で割ることで薄くする=アルコール摂取量を減らすという理屈ですが、他のアルコールを飲んだりするのに比べて症状が出にくくなった気がしています。ただし、度数が低くても量を飲んでしまえば同じことですし、個人差もありますので注意は必要です。
ワイン
ワインは比較的度数が高く、さらに酸性度が高いため影響が大きい可能性があります。お酒の中でも特にGERDへの影響が大きいとされているので注意が必要です。
ビール
ビールはアルコール度数が低め(5%前後)ですが、炭酸が胃酸逆流に悪影響とされているため、度数の低さを過信しない方がよいと言えます。アルコールと炭酸のダブルパンチという点で、逆流性食道炎には意外と侮れない飲み物です。
いずれのお酒も、飲む量・飲むペース・空腹時を避けるといった工夫で症状を和らげられる可能性はありますが、個人差が大きいので自分の体の反応を見ながら付き合っていくことが大切だと思います。(これを言うと元も子もないですが)アルコールは逆流性食道炎以外にも健康への悪影響が指摘されることが多いことを考えると、飲まないに越したことはないと思います。
アルコールとの上手な付き合い方
アルコールと逆流性食道炎の関係は、複数の研究や医療機関が指摘するように、決して無視できないものです。飲酒量が増えるほどリスクが上昇し、アルコールがLESを弛緩させ食道を直接刺激するというメカニズムも明らかになっています。
とはいえ、お酒を完全にやめることが難しい方も多いと思います。そういった場合は、度数の低いものを選ぶ・水割りにする・空腹時を避ける・飲みすぎないといった工夫で、リスクをある程度減らせる可能性があります。
逆流性食道炎はアルコールを含め様々な要因が絡み合っているため、自分の体の反応を観察しながら、無理のない範囲でお酒と付き合っていくことが大切だと思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
(参考)
- Akiyama T, et al. "Alcohol consumption is associated with an increased risk of erosive esophagitis and Barrett's epithelium in Japanese men." BMC Gastroenterology. 2008;8:58. PubMed
- Xue Y, et al. "Alcohol Consumption and the Risk of Gastroesophageal Reflux Disease: A Systematic Review and Meta-analysis." Alcohol and Alcoholism. 2019;54(1):62-69. Oxford Academic
- Mayo Clinic. "Heartburn - Diagnosis & Treatment." Mayo Clinic
