逆流性食道炎と猫背の関係。

逆流性食道炎と猫背の関係。

胃酸が食道に逆流する原因をこれまであれこれ考えてきました。

その中で特に意外だったのが「腹圧」の話です。強い腹圧がかかると胃の内圧が上昇し、その圧力が胃酸を食道へと押し上げてしまうというメカニズムです。私自身、ベンチプレスなどの筋トレをすると強い胃もたれが出るのですが、これもまさに「腹圧→胃の圧力上昇→胃酸逆流」という流れと思われます(参考記事:逆流性食道炎の意外な原因逆流性食道炎と横隔膜の話)。

そして今回取り上げたいのも、実はこの「腹圧」に関わる話です。テーマは「姿勢」、特に猫背について考えてみたいと思います。

猫背が胃酸逆流の原因に?

私もそうですが、日中ずっとデスクワークを続けていると猫背になりがちです。この猫背の姿勢は肩こりや頭痛の原因ともされていますが、逆流性食道炎との関連も指摘されています。

そのような指摘の根拠は、猫背によって腹圧が高まり、胃が圧迫されるからというもの。猫背とGERDの関係を直接示す大規模研究はまだ少ないですが、姿勢が腹圧に影響することはメカニズムとして理にかなっており、専門家の間でも指摘されています。

猫背の姿勢が逆流性食道炎につながったという症例報告もあります。

Physiologically, working in a poor postural position for extended periods of time places pressure on the abdomen and can force acidic stomach contents through the lower esophageal sphincter causing significant discomfort.

生理学的に、長時間にわたって不良な姿勢で作業することは腹部に圧力をかけ、胃の酸性内容物を下部食道括約筋(LES)を通して逆流させ、深刻な不快感を引き起こす可能性がある。

出典:Chu et al., 2021

この報告は1つのケースを取り上げた症例報告なのであくまで参考事例ではありますが、コロナ禍の在宅勤務中に猫背姿勢が続いたことでGERDを発症した35歳女性が、姿勢矯正治療を受けたところ症状が消えたという内容になっています。大規模な研究ではないものの、猫背とGERDの関係を考える上で参考になる事例だと思います。

逆流性食道炎と横隔膜の話という記事で横隔膜トレーニングが逆流性食道炎に効果的という話をしましたが、猫背の姿勢では横隔膜が十分に動かなくなります。猫背は逆流性食道炎には好ましくない姿勢と言えると思います。

PCやスマホも一因?

とはいえ、PCやスマートフォンを長時間使用することが珍しくない現代においては、猫背にならないほうが難しいのかもしれません。

逆流性食道炎の原因として「欧米化した食生活」がよく指摘されますが、個人的には「PCやスマホの普及による慢性的な猫背」も無視できない要因ではないかと考えています。下を向いてスマホを操作する、低い位置に置かれたノートPCの画面を覗き込む。こういった何気ない姿勢を続けるうちに、背中が丸まり、腹圧が高まり、胃が圧迫され、胃酸が食道に流れ込んで胸焼けが。。。逆流性食道炎に悩まされている身としては、そう考えるだけでも恐ろしい。

私がやっている対策

そこで私が意識するようにしているのが、以下の2点です。

  • PCのモニター位置を目線の高さに合わせる:画面が低いと自然と首が前に出て猫背になりやすいため、モニターをなるべく目線と水平になるよう調整しています。
  • スマホは目の高さに構える:下を向いてスマホを見る姿勢は首や背中への負担が大きいため、スマホを持ち上げて目線の高さで操作するようにしています。ただし屋外でこれをやると、周囲の人から写真を撮影していると勘違いされることがあるので、場所は選んだ方がいいと思います!

即効果を実感できるわけではありませんが、姿勢が整うと気持ちのいいものです。私自身はこの方法で違和感なく続けられていますが、興味のある方は無理のない範囲で試してみるとよいかと思います。

その他、背中が丸まっているなと気づいた瞬間に、胸を開いて肩甲骨を寄せるよう意識しています。胸やけっぽい症状がある時にこれをやるだけで、少し楽になるような気がしています。

姿勢の改善は副作用もなく、お金もかからず、思い立った瞬間に実行できます。完璧にこなそうとせず、気づいた時に意識するだけでも十分ではないかと思います。逆流性食道炎に悩んでいる方は、試して見る価値はあると思います。

姿勢改善も重要かも!

猫背は肩こりや頭痛の原因として知られていますが、逆流性食道炎との関係も無視できません。猫背によって胃が圧迫されて腹圧が上昇するだけでなく、横隔膜の動きも制限されることで胃酸逆流が起きやすくなります。PCやスマホが普及した現代では猫背は避けがたい面もありますが、モニターの位置を調整する、気づいた時に肩甲骨を寄せるといった小さな意識づけが、逆流性食道炎の対策として有効かもしれません。

この記事の内容は参考情報としてお読みください。免責事項をお読みの上、症状や治療については、必ず医師にご相談ください。