
バレット食道の話。
これまで逆流性食道炎についてあれこれ考えてきましたが、この記事では逆流性食道炎と切っても切れない関係にある「バレット食道」について取り上げてみようと思います。バレット食道は、種類によって頻度の差があるもののガンになる可能性があると言われていて、注意しなければいけない疾患です。
実は、私も前回の胃カメラ検査でごく小さい範囲のバレット食道があると指摘されています。先生が言うには「1ミリあるかないか程度で本当に小さいので気にしなくて大丈夫ですよ」とのことでしたが、ガンの原因になりうると考えるととても心配なものです。
バレット食道とは?
食道の内側は本来、扁平上皮という粘膜で覆われています。しかし逆流性食道炎が長期間続いて胃酸が繰り返し食道に流れ込むと、食道の下部の粘膜が胃の粘膜(円柱上皮)に似た別の種類の粘膜に置き換わってしまうことがあります。これがバレット食道です。
いわば「胃酸の攻撃に耐えるために、食道の粘膜が胃の粘膜に変化してしまう」という現象です。胃の粘膜は胃酸に強い性質を持っているため、身体が防御反応として変化させると考えられています。
そして気になるのが、このバレット食道とガンとの関連です。国立がん研究センターは、バレット食道について「食道と胃上部の接合部に発生する粘膜組織の変化で食道がん(特に腺がん)の危険因子で、食道がんの前がん病変と考えられています」と説明しています(前がん病変での幹細胞の存在を明らかにしバレット食道からがんへの進行過程を解明|国立がん研究センター)。
バレット食道の長さが問題
バレット食道は、粘膜が置き換わっている範囲の長さによって2種類に分類されています(出典:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021)。
LSBE(Long Segment Barrett's Esophagus) 置き換わった粘膜の長さが3cm以上のものをLSBEと呼びます。発がんリスクが高く、定期的な内視鏡による経過観察が必要とされています。日本ではLSBEの頻度は約0.3%と比較的まれです。
SSBE(Short Segment Barrett's Esophagus)
置き換わった粘膜の長さが3cm未満のものをSSBEと呼びます。日本でのSSBEの頻度は約15%と意外と多いのが特徴です。発がんリスクはLSBEより低いとされていますが、現時点では正確な発がん頻度は不明です。
一般的に、欧米ではLSBEのケースが多く、日本ではSSBEが多いとされています。
バレット食道を指摘されたら
バレット食道の恐ろしい点は、ガンに進行する可能性があるという点もそうですが、それよりも「メンタルが影響を受ける」点ではないかと思います。
私自身も、小さいとはいえバレット食道を指摘されたので少し落ち込みました。逆流性食道炎もバレット食道もそうなのですが、基本的に完治は難しい疾患です。かと言って入院するような緊急性を要するわけでもなく、なんとも中途半端な気分で日常生活を送らなければならないわけです。
ここで確実に言えることは、逆流性食道炎の対策と同じく
- 逆流性食道炎の対策を粛々と続けて症状のさらなる悪化を防ぐ
- 必要な場合には医師の診断に従って治療・検査
- 自分の体の状態を把握し、胃酸逆流についての知識をつけておく
。。。のような点を意識して、焦らずに付き合っていくことが重要だということです。
コーヒーはダメ、揚げ物もダメ、食べてすぐ横になるのもダメ、と制限ばかりが増えていくと疲れてしまうものです。「通常のコーヒーはNGだけどデカフェのラテならOK」とか「揚げ物は全部食べたら多いけど少しつまむ程度ならOK」など、自分の体の許容範囲内で生活を楽しむことも大切だと思います。
まとめ
バレット食道は逆流性食道炎が長期間続いた結果、食道の粘膜が胃の粘膜に置き換わってしまう現象です。発がんリスクがあるため不安になりがちですが、まずは逆流性食道炎の対策を継続することが最も重要です。
バレット食道と診断されたからといって必ずがんになるわけではありません。定期的な内視鏡検査で経過を観察しながら、焦らず自分の体と向き合っていくことが大切です。制限ばかりに気を取られず、許容範囲内で生活を楽しむ姿勢も長く付き合っていく上では欠かせません。
次回は、LSBEとSSBEの発ガン頻度などについて書いてみようと思います。
※バレット食道について、国立がん研究センターが関与した研究がNature誌に掲載されています(英語)。